通夜|一般的な葬儀の流れ.4

通夜は、本来は、葬儀式・告別式の前夜、遺族・親族と故人をよく知る人たちが集まり、夜を徹して遺体に付き添い、線香と蝋燭の灯を絶やさず(邪霊の侵入を防ぐためと言われます。)に棺を守り、故人を偲んで別れを惜しむものです。つまり、お葬式・告別式が公(おおやけ)の葬儀であるのに対し、通夜は私的な葬別の場です。

しかし、最近では通夜にも一般弔問客を迎え、1~2時間程度で通夜の法要(浄土真宗、真宗では「通夜勤行」と言います)を行い、会葬者に「通夜振る舞い(飲食接待)」して終わる「半通夜」が主流となっています。日中行われることの多い葬儀式・告別式には仕事などの都合で出席しにくい人もいるため、通夜に弔問・会葬者が多くなることが少なくありません。

以下では、斎場(葬儀式場)での仏式葬儀の「半通夜」をもとにした通夜の流れと、手順・すべきことをご案内します。

※地域によっては、通夜の前に「出棺」-「火葬」を行います。

祭壇飾り・式場設営

葬儀社が祭壇飾り、式場・受付、通夜振る舞い会場などの設営を行い、ご遺体を納めた棺を安置します。(地域によって通夜の前に火葬を行うところでは、ご遺骨が安置されます。)

遺族・親族には控室が用意されます。着替えや飲食は、この控室で行います。

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供花の配列と贈り主の確認

供花は通夜の行われる斎場に直接届けられます。誰から贈られたかを記録しておきます。

供花は花輪・花籠一基ごとに贈り主の名札板を付けるのが一般的ですが、このときの配列順序には注意が必要です。

基本は、故人との関係の深さから、喪主-遺族-親戚-友人・知人-関係企業・団体の順に配列します。このため、供花の配列には世話役や遺族が立ち合い、葬儀社の飾り付け担当者に指示する必要があります。その際、贈り主の社会的地位なども考慮する必要はありますが、著名人や公職にある人だからと言っても遺族・親戚より上位には配置しないものです。

なお、供花一基ごとに名札を付けることはせず、芳名板を設けて贈り主の名を一括掲示する方法もあります。この場合は、五十音順に配列するのが一般的です。

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礼状・返礼品の確認

弔問・会葬者に渡す会葬御礼など礼状・返礼品は、事前の葬儀打合せに基づいて葬儀社が用意し、式場に用意しますので、内容・数量などに間違いがないか、確認します。

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弔問客の受付

定刻になったら、弔問客の受付を始めます。通夜では受付周辺は照明を明るくし、式場出入り口は開け放しておきます。

葬儀打合せの際の役割分担にしたがって配置につきます。受付口は1箇所ではなく、故人との関係によって複数つくり、芳名カードなどで記帳してもらうと混乱なく受付ができます。

受付の係は、弔問客からのお悔やみ・香典を受け、芳名カードも受け取って照合するとともに、御礼を申し述べ、式場へ案内します。

会計の係は、受付の済んだ芳名カードと香典の表書き(名前・住所・電話番号・金額)を照合し、香典金額を確認して芳名カードにも記入します。

また、必要に応じて、手荷物の預かり所も用意します。

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通夜法要(通夜勤行)

通夜の法要からお葬式・告別式まで、遺族は正式喪服で臨むとされています(地方・地域によっては通夜は平服のところもあります)です。喪主を筆頭に故人と血縁の濃い順に祭壇・棺に向かって右側に着席するのが、一般的です。向かって左側には、葬儀委員長や世話役から順に、近親者(友人・知人)、職場関係者などが着席します。なお、宗教・宗派によって、席の配置は異なることがあります。

告知した時間になったら、次の手順で通夜式を開始します。司会進行は、葬儀社担当者が行うのが一般的です。

まず、僧侶による読経が行われます。

読経の途中から、遺族・親族が順次ご焼香します。

次に、弔問・会葬者のご焼香が行われます。

弔問・会葬者には、ご焼香が終わった順に退席していただき、「通夜振る舞い」の席へご案内するのが通例です。この時、礼状・返礼品を渡します。

一通り会葬者の焼香が終わると、僧侶から故人を悼んでの法話・説教があります。

以上で通夜の法要儀式は終わりますので、喪主から挨拶・謝辞を述べ、「通夜振る舞い」の席へ移ります。

※なお、この後も近親者で祭壇の灯・線香を絶やさないようにして、棺を守ります。

正式喪服とは

正式喪服として「男性の洋装は、黒のモーニングコート・シングルベスト・白ワイシャツ・ストライプ柄の地味なズボン」とされていますが、必ずしもそうとは言えません。そもそもモーニングコートはその名の通り日中の正装なので、通夜では着ることはできません。通夜・葬式・告別式を通して、上下黒の礼装用、またはそれに準じたシングルスーツ(シングルベストも可)に白ワイシャツ。光沢のない黒無地ネクタイ(または黒の棒タイ)を着け、タイピンやカフスボタンはなし。ベストを着用する場合、ズボンはベルトを使わずサスペンダーを使用。足下は黒の靴下に、靴は黒の革靴で、模様のないプレーントウ・紐付きのものを履きます。

上下黒のダブルスーツは「略礼服」とも呼ばれ、冠婚葬祭には多く着られています。正式喪服とは言えませんが遺族が着用しても問題ありません。その場合、腕に喪章を巻くのがよいでしょう。(喪章は遺族・喪家側の人が着けるものです。弔問客で喪章を巻いている方が時々見受けられますが、間違いです。)

男性で和装の場合は、黒羽二重に染め抜き五つ紋の長衣と羽織・仙台平または博多平の袴による黒紋服とされています。地味な色合いの角帯に、足袋は白か黒で、畳表・白か黒の鼻緒の草履を用います。

女性で洋装の場合は、光沢のない黒無地のワンピースやスーツ、またはアンサンブルで、黒のストッキングに飾りのない黒革またはスエードなどのパンプスを履きます。アクセサリーは真珠または黒の目立たないものを用い、バッグも光沢のない黒で、留め金のないものを持ちます。

女性の和装は、黒羽二重に染め抜き五つ紋の長着で、6月・9月は単衣、7月・8月は絽とされています。帯は黒無地(最近は、喪専用の地紋や経文を織り込んだ帯もあります)の丸帯で縫い目を下にして締めます。半襟・下着・襦袢・足袋などはすべて白で、草履は黒の布製を履きます。なお、女性の正式喪服は和装であるというのは、まったくの誤解です。

通夜振る舞い

「通夜振る舞い」は、通夜の弔問客を饗応する席です。通夜の弔問では長居をしないのが礼儀とされていますから、飲食接待はしなくても問題ありませんが、一般的にはオードブルや鮨など、簡単につまめる料理で接待します。持ち帰りできるような折り詰めにするケースもあります。

「通夜振る舞い」では、一般の弔問客と遺族・親族・近親者の席とを別々に設けることもあります。なお、「通夜振る舞い」には僧侶にも同席してもらい、遺族・親族が接待します。(僧侶には、別途持ち帰りできる折り詰めなどを用意することもあります。)

棺守りと宿泊

通夜は、本来は、翌日の葬儀式・告別式まで夜通し故人に付き添い棺を守るものです。通夜の法要・勤行、通夜振る舞いなどが終わって僧侶・会葬者が帰った後も、遺族・近親者は斎場に宿泊し、交代で祭壇の灯・線香を絶やさないようにししなくてはなりません。
ただし、斎場(葬儀式場)によっては夜間は閉館し、宿泊ができない斎場もあります。また、宿泊しできる斎場でも、人数に制限があることが多いようです。なお、宿泊して棺守りする場合は、葬儀社を通して布団などの寝具を必要数手配します。

葬儀・告別式~出棺|葬儀の流れ.5