納税・税務申告手続き

葬儀後に故人の所得税や相続税などを申告・納税することが必要な場合があります。また、葬儀費用は相続税から控除することが認められています。
葬儀と葬儀後の税務手続について、以下をご案内します。

故人の所得税納税(準確定申告)は4カ月以内に

故人が自営業を営んでいた場合、または年収が2千万円以上の給与所得者であった場合は、その年の1月1日から亡くなった日までの所得を最寄りの税務署に申告し、所得税を納めなくてはなりません。これを「準確定申告」と言います。
もし、故人が前年から入院闘病中で、前年の所得税申告・納税をしていなかった場合は、前年分についても「準確定申告」をしなければなりません。

この申告・納税の期限は、死亡した日の翌日から4カ月以内となっています。期限を超えた場合は延滞税などがかかりますから、注意が必要です。

なお、「準確定申告」によって課税される所得は、故人の遺産とみなされ、相続財産の対象にもなります。したがって、「準確定申告」は遺産相続の協議や手続と関連・並行して行う方がよいでしょう。

相続税は10カ月以内に

故人が遺した財産(不動産や預貯金、株券など)があって相続した場合は、相続した財産に相続税がかかります。
相続税の申告・納税は、相続の開始があったことを知った日の(*注)の翌日から10カ月以内に、被相続人(=故人)の住所地の税務署にしなければなりません。(相続税法第27条)
ただし、相続税には基礎控除額があり、遺産総額がこれを超えなければ相続税はゼロとなり、納税も申告もする必要はありません。平成22年現在、この基礎控除額は次の数式で算出されます。

  • 基礎控除額=5,000万円+法定相続人の数×1,000万円

なお、遺産総額が基礎控除額以下のため申告をしなかった場合でも、税務署から申告書が送られてくることがあります。この場合は、基礎控除以下のため申告が不要であることを文書で伝えることになりますが、その際、財産評価等の資料が必要となる場合がありますから、遺産の調査・評価資料などは保管しておき、場合によっては、税理士・行政書士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

また、相続税がゼロの場合でも、小規模宅地等の評価減や配偶者控除の適用を受けるためには、相続税の申告が必要になります。この場合も、一度専門家と相談することをおすすめします。

注)「相続の開始」は、民法第882条によって、被相続人(遺産を残した故人)が死亡した時とされています。
一方、「相続の開始を知った日」は、「自分のために相続の開始があったことを知った日」のことで、被相続人が死亡した日(あるいは、死亡を知った日)、相続の開始があった日とは違います。

葬儀費用は相続税から控除できる

葬儀にかかった費用のうち、次に該当するものは相続税から控除することができます。

  • 葬儀一式(葬儀本体)費用
  • 寺院費用(宗教者への布施・謝礼・寄付)
  • 飲食接待費
  • 斎場(式場)費用
  • 火葬費用
  • 遺体搬送費用、遺体安置費用

これらは、お葬式の準備段階から通夜、お葬式・告別式、火葬までの費用で、葬儀後の四十九日法要やお墓・埋葬の費用、仏具代、香典返しの経費などは含まれません。
お葬式に引き続いて初七日法要を行うことが多いですが、原則として、初七日の寺院費用(布施)などは対象外です。

葬儀費用を相続税から控除するには、出費がわかる領収書、領収書がもらえない場合は出納記録(出金日・出金先・出金目的を記したメモ、ノート、出金伝票など)を保管しておき、それらに基づいて費用を計算し、もともとの相続税額から差し引きます。
葬儀社に依頼した場合も、明細のわかる領収書を受け取っておきましょう。

税務の専門家をご紹介します

準確定申告や相続税などの税務に関する手続は知識・経験がないとわかりにくい点もあり、手間もかかるものです。特に相続税の申告などの場合は、不動産など財産評価もする必要があり複雑になります。
そのために、税理士や行政書士など、専門家に相談することをおすすめします。節税の面からもその方が安心です。

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