葬儀費用の見積・予算に必要な項目
斎場・式場・火葬場案内葬儀社の見積書は必ずしも葬儀にかかる費用項目すべてを網羅しているわけではありません。葬儀費用の予算を立てるには、葬儀社の見積書の費用項目をチェックし、そこに記載されていない費用項目についても加える必要があります。
ここでは、そのためのガイドラインとして、葬儀の流れに沿って、主な費用項目をご案内します。
葬儀の前の段階で生じる費用項目
葬儀社の見積書には、お通夜・お葬式などの葬儀を行う前の段階からの準備費用などが記載されます。主として、次のような項目・内容があります。 遺体処置・湯灌・遺体メイクアップ ご遺体をきれいにし、体液などの流出を抑え、整髪、化粧、着替えなどをする費用です。病院で亡くなった場合にはエンゼルケアとして院内で行ってくれます。 寝台車 ご遺体を病院から自宅等の安置場所まで搬送する専用車両と運行費用です。 枕飾り 安置したご遺体の枕頭に飾られる祭壇。仏式の場合は白木(または白布覆い)の小机に三具足、ろうそく、線香、一本樒(いっぽんきしみ)などのセット費用です。 遺体保存処置料・ドライアイス お葬式までの間、ご遺体の傷みが進むのを抑えるため、ドライアイスや防腐・防臭剤を用いるのが一般的で、その費用です。 エンバーミング 葬儀会場や日程の都合でお葬式まで日数がかかる場合や、事故死などの場合に、ご遺体の腐敗を防止し、傷みを修復して保存する化学的・外科的な技術です。エンバーマーという専門技能者のいる葬儀社では、希望によって別料金で提供しています。 遺体保管料(棺保管料) ご遺体を自宅以外(葬儀社や斎場など)に安置する場合の費用です。日額数千円~2万円が相場です。 納棺支度料 ご遺体を棺に納める儀式の費用です。 手続代行手数料 一連の手続きを葬儀社が代行する際の手数料です。
通夜・お葬式の施行に関する費用項目
葬儀社の見積書は「葬儀一式(葬儀本体)費用」だけ、が基本
祭壇(白木祭壇/花祭壇) 祭壇の費目内容は、祭壇の運搬・設営・設置作業などを含むのが一般的です。 (関連項目)祭壇周り・飾り祭壇供物 水引幕を用いるなどの場合に「祭壇周り飾り」の費目が付加されます。 (関連項目)供物 祭壇に故人にお供えする菓子・フルーツ等です。 柩・お棺 柩(棺)は素材・サイズなどによって等級があり、料金も違います。 位牌 戒名・霊位を墨書した白木の位牌で、四十九日まで用いるものです。 遺影写真(関連項目)遺影花飾り 額に入れた四つ切り写真と手札版のセットで、カラー・モノクロによって料金が違います。額入りの遺影写真を花で飾る場合、「遺影花飾り」の費目が付加されます。また写真を電気で照らす電飾もあります。 焼香セット 焼香具は焼香台・お香・燭台が基本セットです。 受付セット 「受付」には筆記具・記帳カード(芳名録)・お盆・貴重品預かり袋・返礼品受け渡しカードなどが含まれます。 (関連項目)式場看板・門灯造園 入口に掲げる看板です。入口に家紋の入った提灯を掲げたり、手水鉢を出したりする場合の費目です。 テント 多数の会葬者が予想され、式場内で受付場所を確保できず、屋外に受付を置く場合の費目です。 案内看板 最寄りの駅から式場までの道筋・主要道路に立てる捨て看板です。 特殊演出費(音響・照明・映像) お葬式で特別な音響や照明を必要とする演出、映像上映などを行う場合に加える費目です。 車両関係費 葬儀後に火葬場へ移動するための費用で、霊柩車(寝台車)・ハイヤー・バス・マイクロバスが該当します。火葬場を併設した斎場・式場の場合もご遺体は霊柩車で移動する場合があります。 人件費 通夜、お葬式の準備・進行・後片付けなどに従事する葬儀社スタッフと、通夜振る舞いや精進落としなどの料理・飲食会場の配膳・世話をする要員の実働費です。司会・ナレーション・アドバイザー・葬儀運営係・会葬者接待係・案内係・等ありますがすべてが、必ずしも見積項目となるわけではありません。 施行運営管理費(企画運営管理費) 打ち合わせ・企画・準備から葬儀終了までの葬儀社の諸経費で、「葬儀一式費用(葬儀本体費用、または葬儀関係費用)の10%程度が目安とされています。現在では、施行運営管理費を請求しない葬儀社が増えています。
上記以外で、お通夜・お葬式に必要となる費用の項目
次にご案内する費用項目は、葬儀社が直接提供する内容ではないので、当初の見積書には記載されていないこともあります。しかし、お通夜・お葬式の中では必要となる項目・内容です。
通常これらの費用項目は、葬儀社が立て替え払いし、後で精算するケースが多いようですが、予算を立てる上では大きな費目ですから、葬儀社にも見積書に加えるように伝えたほうがいいでしょう。
斎場使用料
自宅や寺院本堂、教会堂以外の公営斎場、民営斎場、葬儀会館・ホールなどで通夜・葬儀を行う場合は、各施設所定の使用料が必要です。見積書にこの費用項目を載せない葬儀社もありますから、確認してください。
会葬礼状
会葬者に渡すための封入したハガキ版のご挨拶状です。予定会葬者数より多めに見積ります。
会葬返礼品
会葬礼状と一緒に会葬者に渡す品です。「香典返し」とは別のものです。
飲食費
料理は通夜と葬儀・告別式に分けて見積します。飲物は通しで概算見積します。一般会葬者の分だけでなく、喪家関係者と宗教者の分も加えます。
人件費(配膳人)
会葬者に振る舞う料理の飲食会場で配膳や世話をする要員の実働費です。
火葬に関する費用項目とその内容
火葬には次のような費用項目が必要となります。すべて火葬場に支払う費用で、首都圏では葬儀社が立て替え、後で葬儀社に精算するのが通例です。 火葬料 火葬料は各火葬場によって定額が決まっています。民営の火葬場では、告別ホール・火葬炉が選択でき、それぞれ料金が異なります。 骨壺代(または、収骨容器) 民営火葬場では素材・サイズなどで料金が異なり、選択できますが、持込はできない火葬場が多いです。公営の火葬場では無料のところが多いですが、素材・サイズなどは選べません。 待合室使用料 火葬は2時間前後かかるため、待合室・休憩室で過ごすのが一般的です。公営火葬場では火葬中の控室(待合室)利用は無料のところもあります。 飲食費用 火葬後に精進料理を予定していても、待合室で長時間過ごすため、火葬場で利用する飲料(実費精算)です。
その他に必要な費用項目とその内容
葬儀社の見積書には記載されないケースが多いですが、以下の項目・内容の費用も、予算として用意しておく必要があります。 心付け(志) バスやハイヤーの運転手、民営火葬場の場合の火夫など係員、寺院斎場や会館の管理人など、適宜渡すように用意しておきます。2,000~3,000円が相場です。この他、葬儀を通じてお世話になった方(5,000~10,000円)や、お手伝いをしてくれた方(2,000~3,000円)などに対しても用意します。 寺院費用 僧侶・宗教者に当日直接渡す費用で、仏式の場合は「お布施」と「御車代(5,000~1万円程度)」です。通夜や葬儀法要の後の宴席に同席しない場合は、「御膳料(5,000~2万円程度)」も必要です。